日本はエネルギー貧困国だという専門家がいる.確かに,石油・石炭などの天然資源に関しては輸入に依存せざるをえない.
しかし,「バイオ燃料」といって,食品廃棄物や森林資源(古民家の木材なども含む)を原料とするアルコール製造に関しては,エネルギー先進国となることができる.
どうゆうこと?
ビタミン・バイオファクター関与の酵素をもつ微生物は,食品廃棄物や森林資源を養分としてアルコール製造を担うことができる(いわゆるアルコール発酵).
日本に無尽蔵に存在する森林資源は魅力的であるが,現時点ではまだ問題がある.
問題点:
・森林資源といえば,木材である.その成分であるセルロースは直接アルコール発酵に使えない.直接,アルコール発酵できる微生物を発見するか,作り出さないといけない.
・生分解性プラスチックと同じであるが,セルロースを分解するセルラーゼ活性をもつ微生物や酵素を準備する.
・木質には,リグニンという分解しにくい物質がある.リグニン分解酵素の開発が必須となる.
これらの問題点を解決するには,ビタミン・バイオファクター関連の研究を推進する必要がある.
何億年もかけて作られた石油・石炭を現代技術で加速度的に生産できるようにしたいし,日本の将来のためにはすぐにもすべきである.
【豆知識」
・木質を食する生命体は知られている.紙を食べる羊やシカ.木材を食べる白アリ.
これらの生命体の体内(主として消化臓器)に共生する微生物(寄生虫と考えてよい)が紙や木材の主成分であるセルロースをグルコースまで分解し,アルコール発酵する微生物に供給することになる.
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