プラスチックは人類が開発した有用物質です.これまで石油などの原始資源(大昔の動植物が地底に埋もれた時に微生物の活躍でできた資源)から化学合成して作られてきました.

ところが,プラスチックは破壊はされるが,粉末状のマイクロプラスチックが永久的に残り,ヒトを含めた動物が知らず知らずに食してしまうことで,体調を崩すことになり,環境問題となっています.


近年,ポリ乳酸を加工することで,「生分解性プラスチック」を作ることができるようになりました.ポリ乳酸の重合体は,微生物が食することができ,時間はかかりますが,地球にやさしい物質まで分解されて,消滅します.

このポリ乳酸は,ヨーグルトの成分である乳酸が重合したものです.乳酸菌がグルコースを餌として育つ過程で,乳酸を作ってくれます.
実は,乳酸菌という微生物がもつ乳酸脱水素酵素という生体高分子(タンパク質)とビタミンが合体した「酵素」の働きなのです.

グルコースが原料と表現しましたが,グルコースは単独ではほとんど存在せず,重合体,つまりポリマーとして存在します.そのようなポリマーの代表は,デンプンとセルロースです.

デンプンを主食とし,乳酸をつくれるのは乳酸菌などの食品加工に使われる有用微生物です. その反面,日本が資源として豊富にもつセルロースは木材の成分です.この木材のもつセルロースを効率よく分解できる技術には,セルラーゼという酵素を上手に活用すればよいのです.
残念ながら,木材の利用に関する研究はまだまだ未熟です.大型の研究費をつぎ込む必要があります.
デンプンもセルロースも日本には大量に存在します.ただ,デンプンは食糧なので,コメとかトーモロコシのようなものを使うと,食糧難につながるが,食品廃棄物を活用できる.
ポリ乳酸以外にも「生分解性プラスチック」をつくることができるようになってます.

このようにつくる「生分解性プラスチック」は,車のボディにできるような硬質のものから,ラップ状にしたり,繊維状にしたり,多様な製品の製造につながっています.

微生物には自身でビタミンの合成ができるものとできないものがありますが,ビタミンを養分とすると,より成長が促進され,結果的に乳酸の合成が活発になります.「ビタミンの作用です」.




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